2021/03/03

2021年2月に観た映画。

こんにちは。2月は以下の38作品を観ました。

『無人列島』(金井勝)★
『裏切りの季節』(大和屋竺)★
『GOOD-BYE』(金井勝)★★★★
『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』(若松孝二)
『処女ゲバゲバ』(若松孝二)★
『歪んだ関係』(若松孝二)
『毛の生えた拳銃』(大和屋竺)★★
『現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行』(若松孝二)★★
『真昼の惨劇』(野村企鋒)ラピュタ阿佐ヶ谷
『王国』(金井勝)★★
『落穂拾い』(アニエス・ヴァルダ)目黒シネマ★
『時が乱吹く』(金井勝)★★
『どっこい!人間節 寿・自由労働者の街』(湯本希生)★
『お嬢ちゃん』(二ノ宮隆太郎)★
『性賊 セックス・ジャック』(若松孝二)
『新宿マッド』(若松孝二)★★
『性輪廻 死にたい女』(若松孝二)
『秘花』(若松孝二)
『パルチザン前史』(土本典昭)★★
『心の傷を癒すということ 劇場版』(安達もじり)
『赤軍-PFLP 世界戦争宣言』(若松孝二・足立正生)
『椀』(足立正生)
『夕やけ雲』(木下恵介)★★
『夕陽に赤い俺の顔』(篠田正浩)
『日本解放戦線 三里塚の夏』(小川紳介)★
『草とり草紙』(福田克彦)国立映画アーカイブ★★
『三里塚 第二砦の人々』(小川紳介)★★
『三里塚 岩山に鉄塔が出来た』(小川紳介)★
『三里塚 辺田部落』(小川紳介)★★★
『三里塚 五月の空 里のかよい路』(小川紳介)
『中央地帯』(マイケル・スノウ)★
『アザー・ミュージック』(Puloma Basu, Rob Hatch-Miller)★★★
『涙を、獅子のたて髪に』(篠田正浩)★
『赤いトキ』(ジャン=ピエール・モッキー)ユーロスペース★
『宝島』(ギヨーム・ブラック)ユーロスペース★★
『'69春~秋 地下広場』(大内田圭弥)国立映画アーカイブ
『二重のまち/交代地のうたを編む』(小森はるか・瀬尾夏美)ポレポレ東中野★★
『本気のしるし 劇場版』(深田晃司)★

若松孝二と足立正生がカンヌ映画祭帰りにパレスチナに向かい新左翼のアイドル重信房子と合流して共産主義テロ集団パレスチナ人民解放軍のゲリラ戦士を取材し撮り上げたプロパガンダ映画『赤軍-PFLP』をもって僕の若松-足立ノックは一旦休止です。『赤軍-PFLP』自体はつまらないですが、書籍などで関係者による撮影記やその後のいわゆる"赤バス"での上映運動について知るとなかなか楽しい映画です。60年代の若松作品はもちろん、『三里塚』シリーズや『パルチザン前史』『'69春~秋 地下広場』など60年代、70年代頭にかけての新左翼運動に関わるドキュメンタリーなどを観て、ホントに昭和eraってどうかしてたんだなーと再確認できました。たしかに熱い時代で面白いなーとは思うんだけど、基本的にはホットすぎてキツいノリです。と同時に、一昔前の「民主主義ってなんだ?」がホットだった時期を思い出して、僕はあれにも全然ノレなかったんだよなー。政治的態度を表明しなかったり中道を標榜したりするのに負い目を感じさせられるような、常に「お前はどっち側なんだ!」と問い質されているような、そんな気分があれからジワジワと続いています。ツイッターの見過ぎなのか?たしかに僕は毎日毎日何かしらや誰かしらに対して怒って怒って怒っているような、菊地成孔言うところの"Twitterジャンキー"的な正しさで満たされたアカウントを見るのはどちらかというと好きなのだが…(自身のトランプ支持を喧伝されて憤慨していた菊地成孔はダサかったと思うが…)。世界酷いし日本余計酷いし怒るの当然だとは思うけど、「冷笑ダサい」みたいな風潮も正直しんどい。こんな育ち方をしてしまった自分を恨みます。で、映画の話に戻ろうね。なんといっても先月は金井勝の作品に魅了されました。特に『GOOD-BYE』は生涯ベスト入りです。上記のリストを見てください、史上初の★4つです。いやそんなの僕の匙加減なのでどうでもいいんですが。この李舜臣の銅像の前にすっくと立つむささび童子、金井勝、山崎佑次のスリーショットを見てくれ。
観た人にしか伝わらないし、なんなら観た人にも伝わらないだろうが、僕はこれにものすごーく泣いちゃうくらい感動して興奮したのだった。好きすぎて人には勧めたくないし、この映画をこんなに好きな人間が僕の他にいるのだろうか。誰かが「『GOOD-BYE』最高!生涯ベスト!」って言っていたら、僕は「嘘つくな!」と言います。乱暴者です。さらにシュールさを極めた『王国』も、亡くなった友に捧げたエッセイ映画『時が乱吹く』も、金井監督の作品はどれも素晴らしかったです。お給料をもらったらちょっと高価な金井勝DVD-BOXを買うつもりです。そうそう、やっと仕事が決まったんですよ。今までのように好きなときに観たい映画観に行ったり遊び呆けたりはできないんだろうなーと思うと悲しいけど、そんな甘いこと言ってられる歳でもないですね実際。マジで。ホントに。とりあえず今は、僕が何においても役立たずだという事実が会社にバレるのをなんとか先延ばしにしたいと考えています。昨日、一日のノルマの仕事量を聞かされて「あーどんなに頑張っても無理だ 素早さと正確さが同時に求められるような作業には根本的に向いていないのだから」と悟ったところなのですが、愛嬌のない愛想の悪い仕事もできない頑張れない人間が社会でどう扱われるのか想像するとゾクゾクしてきます。ノルマだとか、Slackだとか、オンラインの勤怠管理だとか、すでに色んなことがアホくさい。できない人間がいることを思い知らせてやりましょう。そしてクビになったらパーティーしよう。それまでは一応真面目にやろう。それはさておき映画の話ですが、グッチーズ・フリースクール主催のオンライン映画祭で観たNYCにあったレコード屋Other Musicの閉店を捉えたドキュメンタリー『アザー・ミュージック』が最高でしたね。映画観ながらこんなに固有名詞に陶酔することもないんじゃないかというくらい、好きなものしか出てこない。ハイライトのひとつがGary Wilsonのインストアライブなの、otherすぎる。この店で働けなかったことが悔しすぎて鑑賞後しばらくのあいだ頭がかき乱されていた。Other Musicのオーナーの配偶者が「この店が閉まったら今いるスタッフのことが心配 他の場所では働けない人たちばかりだから」とインタビューに応えていて泣きそうになった。そしてそれでも店をクビになったアニマル・コレクティヴのAvey Tareを思う。彼はそのあと素晴らしい音楽を作った。ふさわしいと思える場所で生きていたいそれがあたしの望みです。それでは聴いてください。DJ Kozeで"I Haven't Been Everywhere But It's On My List"。そいじゃ。