2021/01/04

2020年12月に観た映画と年間ベスト。


あけましておめでとうございます。昨年12月に観た映画です。13作品です。

『黄色いからす』★
『ろくでなし』(吉田喜重)★
『馬鹿が戦車でやって来る』★★
『キング・オブ・マーヴィン・ガーデン -儚き夢の果て-』★★★
『れいこいるか』(下北沢トリウッド)★
『ピノキオ√964』
『デスパウダー』
『狼と豚と人間』★★
『太陽の墓場』★
『行き止まりの世界に生まれて』(下高井戸シネマ)★
『HEAVEN-6-BOX』★
『田舎刑事 まぼろしの特攻隊』(シネマヴェーラ渋谷)★★
『地獄の天使 赤い爆音』★★

五所平之助『黄色いからす』はとてもいい子供映画でした。子役は小津安二郎『お早よう』のお兄ちゃん役だった設楽幸嗣くん。ホント達者。今回オナラはしてなかった。『キング・オブ・マーヴィン・ガーデン』は、生涯ベスト級に好きな『ファイブ・イージー・ピーセス』に次ぐボブ・ラフェルソンとジャック・ニコルソンのタッグ作。期待以上に素晴らしかった。このラストショットね、震える。


 映画館では『れいこいるか』、『行き止まりの世界に生まれて』、『田舎刑事 まぼろしの特攻隊』の3作を観ました。『田舎刑事 まぼろしの特攻隊』は、森崎東監督のTVドラマで、戦時中マジで特攻隊員だった西村晃の演技に泣く。服を脱ぎ捨てて海に消えていく姿が、ハル・アシュビー『帰郷』でのブルース・ダーンと重なります。『帰郷』は一作品としてはたいして好きでもないのですが(やっぱジョン・ヴォイト好きじゃないし)、PTSDのベトナム帰還兵を演じたブルース・ダーンはとにかく素晴らしい名演をしていて、ダーンが軍服脱いでケツ丸出しで海に飛び込んでいく姿は、バックに流れるTim Buckleyの"Once I Was"と共に忘れられません。『帰郷』が1978年公開、『田舎刑事 まぼろしの特攻隊』が1979年放送なので、多少は参考にしたのではないかと僕は睨んでいます。

で、ツイッターで発表しましたが、2020年の年間ベストです。どこで観ようがいつの作品だろうが全く関係のない年間ベストです。昨年緊急事態宣言が出て以降は、引越しをしたこともあり、全然映画館行かなかったですね。ほとんど家で観ました。その結果、尺の短いロマンポルノやピンク映画をやたら観てました。佐藤寿保しか観てない時期もありました。良くないこととは思いますが、インターネットにはタダで観られる映画が無数に落っこっているんだと気が付きました。あとU-NEXTとアマプラ、すっごい便利!というわけで、例年になく様々なタイプの映画を観ることができました。このブログを元に数えたら、一応517作品観たらしいです。一昨年とかは家で映画観ることなんてほとんどなくて、劇場で年間500本くらい観ていたんですが、ちょっとおかしかったんだと思います。517作品中、日本映画20・ロマンポルノ15・外国映画15とカテゴリ別にしたら、計50作品にキリよく絞れました。区分って便利だな~。鑑賞順です。

・日本映画
『如何なる星の下に』豊田四郎・1962年
『その後の蜂の巣の子供たち』清水宏・1951年
『からたち日記』五所平之助・1959年
『沙羅の門』久松静児・1964年
『OLの愛汁 ラブジュース』田尻裕司・1999年
『千羽鶴』吉村公三郎・1953年
『団地妻 隣のあえぎ』サトウトシキ・2001年
『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』中島貞夫・1973年
『火まつり』柳町光男・1985年
『“BLOW THE NIGHT!” 夜をぶっとばせ』曽根中生・1983年
『痴漢電車 いやらしい行為』幡寿一(佐藤寿保の変名です)・1993年
『番格ロック』内藤誠・1973年
『大いなる幻影』黒沢清・1999年
『杏っ子』成瀬巳喜男・1958年
『エクスタシーの涙 恥淫』大木裕之・1996年
『渚のシンドバッド』橋口亮輔・1995年
『女生きてます 盛り場渡り鳥』森崎東・1972年
『家族』山田洋次・1970年
『逆さ吊し縛り縄』片岡修二・1985年
『狼と豚と人間』深作欣二・1964年
・ロマンポルノ
『密猟妻 奥のうずき』菅野隆・1981年
『ロリータバイブ責め』佐藤寿保・1987年
『少女暴行事件 赤い靴』上垣保朗・1983年
『レイプ25時 暴姦』長谷部安春・1977年
『美少女プロレス 失神10秒前』那須博之・1984年
『女教師 汚れた放課後』根岸吉太郎・1981年 (ツイッターで"濡れた放課後"になってましたが間違いでした)
『闇に浮かぶ白い肌』西村昭五郎・1972年
『熟れすぎた乳房 人妻』曽根中生・1973年
『魔性の香り』池田敏春・1985年
『愛欲の罠』大和屋竺・1973年
『双子座の女』山城新伍・1984年
『制服肉奴隷』すずきじゅんいち・1985年
『母娘監禁 牝』斉藤水丸(斉藤信幸)・1987年
『初夜の海』中原俊・1984年
『泣く女』西村昭五郎・1980年
・外国映画
『デスペレート・リビング』ジョン・ウォーターズ・1977年
『夜への前ぶれ』スタン・ブラッケージ・1958年
『生き残るヤツ』アイヴァン・パッサー・1971年
『ブリュッセル、60年代後半の少女のポートレート』シャンタル・アケルマン・1994年
『死霊伝説 完全版』トビー・フーパー・1979年
『プライベート・パーツ』ポール・バーテル・1972年
『アウト・オブ・ブルー』デニス・ホッパー・1980年
『希望の街』ジョン・セイルズ・1991年
『ジェネシスとレディ・ジェイのバラード』マリー・ロジエ・2011年
『フール・フォア・ラブ』ロバート・アルトマン・1985年
『男の出発』ディック・リチャーズ・1972年
『インテリア』ウディ・アレン・1978年
『スター80』ボブ・フォッシー・1983年
『真夜中の刑事 PYTHON357』アラン・コルノー・1976年
『キング・オブ・マーヴィン・ガーデン』ボブ・ラフェルソン・1972年

どうすか。2000年以降の映画が2本しかないことに僕は引きました。ちなみに今年の映画初めは、Kisssh-Kisssssshオンライン映画祭で山中瑶子監督の『あみこ』を観ました。自主映画9作品が1000円で30日間見放題とのことです。『眠る虫』が素晴らしかった金子由里奈監督の『散歩する植物』もだいぶ良かったです。人間辞めて植物になる話なのですが、観終えてドラえもんの秘密道具・石ころ帽子を思い出しました。「道端の石ころのように誰からも気にされない存在になりたい…」そんな後ろ向きな夢も叶えてくれるF先生です。透明マントとか透明人間になれる目薬とかさ、普通に姿が見えなくなる系の道具もあるのにさ、"道端の石ころみたいになれる"ですよ。"透明ぼうし"でいいじゃん。あとさ、それで思い出したけど「見えなくなる目薬」ってあるじゃないですか。その目薬を差すと他人の姿が透明化して一切見えなくなるっていう、ネーミングを逆手にとった秘密道具なんですが、ちょっと欲しくない?他人、ときとして目障りじゃない?似たような効果のものとしては、飲むとしばらくのあいだ誰とも顔を合わさなくなる「無人境ドリンク」もあって、結局オチとしては「一人になりたいって言うけど実際孤独ってつらいんだぜ」という『どくさいスイッチ』的な教訓話になっちゃいますが、道具の発想としてはFの社会不適合な一面が滲んでいて好きですね。で、AはAでご存じのようにちょっとどうかしてるじゃないですか。マジこの二人の出会い、運命。『まんが道』読んでない人は今年中に読むように。それでは今年もよろしくお願いします。