2021/02/04

2021年1月に観た映画。

『あみこ』(山中瑤子)
『そんなこと考えるの馬鹿』(田村将章)
『散歩する植物』(金子由里奈)★
『ラブコメ処方箋 甘い恋のつくり方』(デヴィッド・ウェイン)★
『帰ろうYO!』(松本卓也)
『処女監禁』(関本郁夫)★★
『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』(鈴木則文)
『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』(鈴木則文)★
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』(ディーン・パリソット) 吉祥寺オデヲン ★★
『女番長ゲリラ』(鈴木則文)★
『女番長』(鈴木則文)
『女番長 タイマン勝負』(関本郁夫)★★
『女番長 玉突き遊び』(関本郁夫)★
『mid90s ミッドナインティーズ』(ジョナ・ヒル) 早稲田松竹 ★
『好色元禄(秘)物語』(関本郁夫)
『天使の欲望』(関本郁夫)★
『二十歳の死』(アルノー・デプレシャン)★
『温泉こんにゃく芸者』(中島貞夫)
『温泉みみず芸者』(鈴木則文)★★
『温泉おさな芸者』(鷹森立一)
『ニュー・ジャック・シティ』(マリオ・ヴァン・ピーブルズ)★
『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』(ニコラス・フンベルト、ヴェルナー・ペンツェル)★
『俺は田舎のプレスリー』(満友敬司) 神保町シアター ★★
『故郷』(山田洋次)★★
『挽歌』(五所平之助)★★
『現代性犯罪暗黒編 ある通り魔の告白』(若松孝二)
『螢火』(五所平之助)★
『縄姉妹 奇妙な果実』(中原俊)★★★
『893愚連隊』(中島貞夫)★★
『白い娼婦 花芯のたかまり』(小沼勝)★
『現代好色伝 テロルの季節』(若松孝二)★★
『春婦伝』(鈴木清順)★★
『団鬼六 少女木馬責め』(加藤文彦)★★
『噴出祈願 十五才の売春婦』(足立正生)
『堕胎』(足立正生)
『鎖陰』(足立正生)★★
『銀河系』(足立正生)
『性遊戯』(足立正生)★
『性地帯 セックスゾーン』(足立正生)
『女学生ゲリラ』(足立正生)★
『叛女 夢幻地獄』(足立正生)★★
『狂走情死考』(若松孝二)
『壁の中の秘事』(若松孝二)
『血は太陽よりも赤い』(若松孝二)★
『痴漢電車 いけない妻たち (別題:わたくしの汽車は北へ走つてゐるはずなのに ここではみなみへかけてゐる)』(瀬々敬久)
『鉛の墓標』(若松孝二)
『性の放浪』(若松孝二)★★
『日本暴行暗黒史 異常者の血』(若松孝二)
『心の中』(大木裕之)★★★
『性犯罪』(若松孝二)

50作でした。東映B級と若松プロにだいぶ偏ってます。『女番長』シリーズは鈴木則文が4作と関本郁夫が2作を撮ってるんですが、ベストは関本監督の5作目『女番長 タイマン勝負』。鈴木監督の著書『東映ゲリラ戦記』と関本監督の著書『映画人列伝』もサブテキストとして買いました。音楽のベスト記事書いてるときも感じましたけど、製作背景や作り手本人の証言に当たると面白いですね。外国映画なんか観るとすぐIMDBのTriviaの欄見ちゃいますもんね。例えば、佐藤忠男編『お化け煙突の世界 映画監督五所平之助の人と仕事』を読んで、彼が妾の子で、5歳の時に父方の本家に迎え入れられることになり、生母と引き離されるときに「もうこれからはお母さんと呼んではいけない」と言われた、なんていう話を知ると、映画の味わいもまた変わってきます。「五つのときの、生母との別れは忘れられません。二月の寒い日で、雪が降っていました。(中略)庭に黄色い花が咲いていました。この日以来ですね、黄色い花が好きになったのは、のちに『黄色いからす』という映画を撮りましたが、この日のことにつながっているのでしょう」。なるほどなー。『黄色いからす』は良い映画です。それから、関本郁夫作品『処女監禁』『天使の欲望』における"津軽の海"の謎も、『映画人列伝』を読むと、津軽という土地が、ほとんど関本監督の生理に訴える何かであるとわかる。まあ映画を観る上でどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、知ると面白いです。それだけ!家で映画観るようになってからそういう周辺情報をリサーチする傾向が増している気がします。だって、ヒマだからな!(上野顕太郎調)。若松孝二に関しては内田裕也出演作しか観ておらず「昔の左翼の監督でしょ」くらいの雑な認識だったんですが、佐藤重臣著『祭りよ、甦れ!』で度々言及があったのと、レイトで香取環特集をしていたラピュタ阿佐ヶ谷に立ち寄ったときに買った鈴木義昭著『ピンク映画水滸伝』の新装文庫版を読んで一通り観てみようと思いました。これまで観た中では『性の放浪』と『現代好色伝 テロルの季節』がオススメです。同時に以前から興味のあった足立正生の作品も観たんですが、まあまあ面白いです。お気に入りは日大映研時代の実験映画『鎖陰』と貞永方久監督の神経症的なサスペンスに近い雰囲気の『叛女 夢幻地獄』。劇場で観たのは『ビルとテッドの時空旅行』『mid90s』『俺は田舎のプレスリー』くらいですね。全部良かったです。ステーション!今月も引き続き若松孝二を観ると思いますが、これもまた佐藤重臣の本で取り上げられていた金井勝をゴニョゴニョな方法で観てみたらホントにホントに感激したので、1万円する金井勝DVDボックスを買おうか本気で迷っています。誰かカンパお願いします。それではさようなら。

2021/02/01

2021.1.13-1.31

最後更新してからみた映画
『ジャーマン+雨』(2006)
『悶絶 ほとばしる愛欲』(2006)
『団地妻 白昼の不倫』(1997)
『新・団地妻 不倫は蜜の味 今宵かぎりは…』(1999)
『デヴィッド・バーンのトゥルー・ストーリー』(1986)
『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)
『メロデ』(1989)
『二十歳の死』(1991)
『花井さちこの華麗な生活 インターナショナルバージョン』(2004)
『Doodlebug』(1997)
『不倫日記 濡れたままもう一度』(1996)
『風たちの午後』(1980)
『フェリチタ!』(2020)
『ウィーク・オブ・ウェディング』(2018)
『怪談』(1965)
『奥様は妊娠中』(2019)
『バーニング・ゴースト』(2019)
『街をぶっ飛ばせ』(1968)
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)
『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』(2019)
『現代好色伝 / テロルの季節』(1969)
『路面電車』(1966)
『顔』(1966)
『役所』(1966)
『ジェーン・カンピオン短編集』(1982)
『孤高』(1974)
『リクエスト番組』(1967)
『Fabryka』(1971)
『他人の顔』(1966)
『白い朝』(1965)
『東京1958』(1958)

あとはmyfffで短編を何本か
気分が変わっていくのが並べるとよくわかる。
前半は、ビデオマーケットを退会しようと思って(闇動画ほぼみたから)見逃していたピンク映画をどんどこみてたけどそうしたら楽しくなっちゃって退会するのやめた。
サトウトシキの『不倫日記 濡れたままもう一度』は本当に素晴らしかった。。幽霊になっちゃう葉月螢最高!
myfffは『奥様は妊娠中』と『バーニング・ゴースト』は結構面白かった。後者とかちゃんとスクリーンでみたい。
そんで私の最近の大事件といえば、先日夢で自室にビデオデッキがあったんです。で、ふつうになんかみてて、起きてあ〜ビデオデッキほし〜〜〜と思いながら、その日は暇だったから古本を漁りに行ったんです。そしたらボガンボスのライブVHSが2本売ってるのを見つけちゃって、あ、これは私が買うやつジャン!と確信し、その数日後テレビデオを買った。超久しぶりにサクサク買い物した。メルカリ大好き!
その後にボガンボス買ったりキエシロフスキーの『デカローグ』をもらったりして最近はVHS生活を楽しんでる。楽しすぎる。『デカローグ』の道のりは長すぎるのでいい機会だと思ってキエシロフスキーの初期作品とかいくつかみてるんだけど、みんな初期に怪ドキュ撮るもんなのかな、、と『役所』あたりをみて思った。ゴダールのコンクリートのやつとか、みんな通る道なの?そんでその後男と女の話に突っ走るコースなの?謎。

ところで行き場のなくなった『天国にちがいない』について年始に書いたやつをここで加筆して成仏させまーす。昨年末Filmexで観たエリア・スレイマン『天国にちがいない』が素晴らしかった(日本では1月29日から公開)。イスラエルに生まれ育ったスレイマン自身が彼自身(映画監督であり一人の男)として出演し、ナザレの自宅から出発し、パリやニューヨークといった都市を回っていくストーリーである。結局オチは「どこに行ったって天国であり地獄」で、(ところで最近ブルーハーツのライブVHSを買って延々と流してるんですけど、「TRAIN-TRAIN」には「ここは天国じゃないんだかと言って地獄でもない」って歌詞がありますけど本当にそうだよね、いいやつばかりじゃないけど悪いやつばかりでもない。あー会社とかマジでそう。それでもやめて〜〜〜〜話はさらに脱線しますけど、ブルーハーツ(よりもハイロウズ)とか、ボガンボス(よりもどんと)みたいな素晴らしい歌詞はもう誰も歌わないんですか。なんでみんな男女の絡れについてしか歌わないんですか、別にいいけど。「愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない」についてわからん奴らが多すぎるからだ〜〜〜〜バーカバーカ)

不自然な静けさを伴ってパリでは多くの警官が暇つぶしに路上に設置されたカフェの椅子と椅子の距離を測ったり、ホウキで空の瓶を排水溝に捨てようと必死になっていたり、ニューヨークでは広場の椅子を必死に(けれども静かに)取り合う地元の人々が映されている。
映画には異質なものが入り込むと途端に深みを増すのだと、年始に言われたときこの映画をふと思い出した。例えば『動くな!死ね!甦れ!』(1990)の頭のおかしな老人だったり、『ダゲール街の人々』(1976)もそう。当たり前の日常には必ず異質なものが紛れ込んでいる。一昔前はヴィヴィアン・マイヤーのような街にいるひとに近づいて写真を撮ること(それも日常的に、彼女の撮りためたフィルム量は目まぐるしい)や、もっというなら牛腸茂雄のようなさりげないけれども障害児の真っ直ぐな瞳に思わず慄いてしまうような、そんなポートレートが多くあった時代であるが(映画でいうなら土本典昭の水俣シリーズなど)、いまではそうした言い方に語弊はあるが、赤の他人に近づくこと、もっというならば異質な他人に近づくことがタブーである時代なのではないか。これはコロナ禍でさらに加速していくだろう。異質なものを入れろと言いたいわけではないが、そうした私たちが普段目にするけれど近づいてみることができないような世界を映画は広げてくれるものだと思う。ただ一人の女と男が出会うためにそれ以外は排除するといったダイレクトな映像がいまやテレビや広告映像にとっては主流だが、スレイマンの新作はそういったダイレクトさをも皮肉としてる気がしなくもない。ダイレクトに、シンプルにしたところでやはり異質さはにじみ出てくるはずだ。それをどこまでも削ろうとするのはあまりに傲慢であり、カメラに対して失礼である。回り道した中(けれどもそれは回り道ではなく、私たちが普段本来目にしている風景)にある異質なものが含まれてしまっている映画に今年はどれだけ出会えるのか、楽しみだ。といういい感じにしれっとシメた文章があったわけでした。

これの途中に出てくる顎がやばいじいちゃんとかね。