2020/02/11

さいきん観た映画の羅列

最後更新してから観て面白かった映画
『しとやかな獣』(1962)/『夏の庭』(1994)/『天国の口、終りの楽園。』(2001)/『本当に僕じゃない!』(2008)/『たそがれ酒場』(1955)/『アメリカの影』(1959)/『風の中の子供』(1937)/『メアリー&マックス』(2008)/『蜂の巣の子供たち』(1948)/『9人の翻訳家』(2019)/『パチンカー奈美』(1992)/『バード★シット』(1970)/『THUNDER』(1982)/『みかへりの塔』(1941)/『その後の蜂の巣の子供たち』(1951)/『やわらかい肌』(1998)/『かえるのうた/援助交際物語 したがるオンナたち』(2005)/『フェリーニのアマルコルド』(1974)って感じ

4冠獲得した『パラサイト』(2019)が今話題になってるけど、それと一緒に地味に話題になってた『しとやかな獣』は確かに面白かった。吉田喜重とか増村保造を想起させる(というか年代だいたい一緒だよね)舞台セットの緻密さ、構図へのこだわりにめちゃくちゃ萌える〜舞台セットの素晴らしさといえば『たそがれ酒場』も素晴らしかったし、ヴィスコンティ『白夜』もめちゃくちゃワクワクした。超ありきたりだけど私が舞台セットでいちばんワクワクしたのは『白い恐怖』(1945)です。超ありきたり…でもめちゃくちゃ好き!
修士論文を提出して、口頭試問も終わった私はいまスーパー無敵暇モードに突入してるんだけど、見事にお金はないし、ひとと会うのも疲れちゃうので、最近はもっぱら家で映画観る、本読む、たまに映画館行く、なかよしと酒飲む!のエンドレスリピート。あとランニングも始めた。初めてアイドルにもハマりだした。暇の境地。仲良くもない母親にケーキ餌付けしたりしてる。
で、暇すぎるからいま2週間無料のアマゾンのWOWOWシネフィル+?に登録した。そこでカサヴェテスを一気に観たんだけど(『こわれゆく女』(1974)くらいしか観たことなかった)居心地の悪い空間を作り出す天才だと思った。『アメリカの影』は本当に面白かったし、さいきんできた吉祥寺の古本屋にDVD売ってたからまだあったら買いたい…アマゾンのやつではフェリーニもヴァルダもあった。あと、『流されて…』(1974)もあって(これのヒロインがインスタでずっと推してるモデルに似てたから見て→https://www.instagram.com/uglyworldwide/?hl=ja)、あとともだちから貸してもらった『バード★シット』、この2本は父が昔買い集めてた映画のパンフレットの山に埋もれてたから観れてうれしかった。父親が若い頃はパンフレットが激安だったらしくて心底羨ましい、でもこうやって昔を羨むバカがいちばん嫌い。
無料乞食の私なのでGYAOでもよく映画を漁るんだけど、『やわらかい肌』がかなり!面白かった。最初は『逆噴射家族』(1984)かな〜って思ってたんだけど、それをはるかにブチ越えたキチガイレベル。お母ちゃんが家族が構ってくれないから拗ねて、テレクラの男ひっかけて2人で共謀してお母ちゃんが攫われたってことにして、家族をまた集結させよう!って計画する話。チェーンソー持ってる謎の女の子が最高。ずっと騒がしいのにラストで一気に静かになるのもサイコーにセンスイイ。家族もの観たからこの調子でケンローチでも観ようかなガハハ
あとは映画館で観たやつでは『9人の翻訳家』がめちゃくちゃ好きな感じだった。地元の仲良いおじさんが薦めてくれて、何の前情報なしに観たんだけど『このサイテーな世界の終わり』のアレックス・ローサーが出てて激・萌〜だった。編集下手だなって思ったけど、脚本が面白いし何よりキャスティングがサイコーだった(ドイツ人が特にヤバい)。

で、さいきん何より私がフォーリン・ラブしてるのは清水宏!このためにラピュタの子ども特集にせっせと通ってる。フィルマークスでも清水宏の描く子どもはキアロスタミのそれに似ている〜〜タラタラ〜〜と大量に書かれてるからそんな野暮なことは言えない…んだけどマジで清水宏作品に出てくる子どもは裕福であっても、戦争孤児であっても等しくやさしく描かれていて本当に好き。
なかでもビビったのは『風の中の子供』の中盤、男の子がタライの中に入って川に流されるシーン。これは『ドリーの冒険』(1908)を思い出さずにはいられない!というかそれよりもすごいんじゃないかと思う。だって『ドリーの冒険』では実際にはドリーは樽に入ってないんだけど、こっちはガチでタライに乗ってどんぶらこしてる。その男の子を一時預かることになった金持ちのおじさんが馬に乗ってそのタライを追いかけるんだけど、それを観て観客は物語的サスペンスも感じるし、視覚的にもハラハラするに決まってるわけ、すごーい、古典的ハリウッド映画かよ!でも古典的ハリウッドとはやっぱり違うのは清水宏作品には過度なクローズアップがない。子どもたちはつねに等しく映しだされる。故意に感情移入させることなく物語は進むし、気付いたら終わっちゃう。そういう映画が私は好きだ〜。『蜂の巣の子供たち』、『その後の蜂の巣の〜』も本当に良かった!戦争孤児の話なんだけど、清水宏は実際にも孤児を引き取ってたらしい。前者の始まりには「この子どもに見覚えはありませんか」みたいなことがバーンと書かれて始まるんだけど、それで実際に親が見つかったりしたらしい。後者では前者の作品で死んだ設定の子どもが平気で生きてたりする、メタフィクションサイコー。こういうのばっかり好きになるな。気が向いたらちゃんと書き残しておきたい。
『その後の蜂の巣の〜』を観た後、ラピュタを出たところで煙草を吸ってたら目の前の道で物語に出てきた子どもたちと同い年くらいの女の子たちが遊んでて、久しぶりに子どもが可愛いと思えた(別に可愛いと思わなきゃいけないなんて思わないし、子ども=可愛いが私的に永遠に謎)。天気が良くて無駄に輝いて見えた感じはする。子どもが苦手なくせに、子どもの出てくる映画を好む私(でも『ムーンライズ・キングダム』みたいなのは苦手。『ジョジョ・ラビット』もきっと無理。)を家族は不気味がるけど自分でもなんでなのかわからない。よくわからん憧れがスクリーンにはある。暇すぎて嫌なことばっかり考えちゃうし、それで泣いちゃうのも悲しいからノンストップで映画観てるけどなんかもうちょっと考えたーいと思いながらブログ書いてたけど結局薄っぺらい感想で終わる。まずはラピュタで買った清水宏の本を読むところから始めたい。